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小児はり・すみ灸はもともと関西地方で盛んに行われていた治療法です。
「子どもの鍼治療」と聞くと驚く人もおられるでしょうが、「子どもの鍼」は、いわゆる針ではなく、ヘラ状の形をしています。皮膚に刺すのではなく、軽く摩擦する治療法です。
すみ灸は生薬が皮膚から吸収される効果と、樟脳が入っていますので軽い刺激感があります。
小児はり、すみ灸ともに、この軽い刺激が自律神経を通り脊髄や脳の中枢に伝わり、内臓の働きを高め、消化、吸収、発育作用を促進し、抵抗力が強くなります。

小児喘息、アトピー性皮膚炎、扁桃炎、夜尿症、便秘、下痢等、この他にも種々の症状に効果がありますが、特に夜泣き、疳虫に効果があります。
虚弱体質の子どもさんも定期的に治療を受けることで、健康な体づくりができます。
希望される方には家庭でできる簡単な治療法も指導致します。


夜泣き・疳虫 小児神経症を関西では俗に疳虫といいます。
乳幼児の精神と身体の急速な発育のために生ずるアンバランスな状態により起こる神経症です。
不機嫌、夜泣き、不眠があり、眉間に青筋、眼の白目が青くなる、疳高い声でキーキーと発声する等の症状です。
小児用の鍼で治療しますので、痛みもなく、逆に気持ちが良いので、治療中に眠ってしまう子どもさんもおられます。
小児喘息 日本では小児の患者が年々増加しています。30年前の3~8倍に増加し、いろいろなアレルゲンと大気汚染などが原因と推測されています。
西洋医学では、1.アトピー型 2.非アトピー型に分類されます。
東洋医学では体質に、1.肝虚(ストレス)2.脾虚(消化器系の不調)3.肺虚(風邪)4.腎虚(エネルギー不足)がきっかけとなり発症すると考え、定期的、長期的に治療することで根本を治療することができます。
アトピー性皮膚炎 西洋医学ではストレスや食事、遺伝による免疫異常が原因とされ、薬物療法が主な治療法です。
東洋医学では、小児期の脾胃虚弱(胃腸が弱い)、腎虚(エネルギー不足)の体質があるところへ、ストレス、食事の不摂生、ハウスダスト、ダニなどが作用して発病すると考えます。
同じアトピーでも体質や、皮膚が乾燥している場合と、滲出液(汁)が出ている場合では鍼灸治療の治療法が異なります。
扁桃腺 乳児に少なく幼児に多い病気です。熱が高く(38℃~39℃)のどの痛み、扁桃腺が赤く腫れる。
物を飲み込む時にのどが痛いなどの症状があります。
東洋医学では、扁桃腺に関連する、肺経、大腸経、腎経のツボを使用します。
夜尿症 4~5歳以上になっても夜間、無意識に尿を漏らす場合に夜尿症といいます。
西洋医学では、1.排尿に関する神経、筋肉の成長が未熟なため。2.一時期は夜尿が消失していたものが、心理、身体のストレスでふたたび出現 の二つに分類されます。
東洋医学では、1.腎虚(成長、発育が未熟・エネルギー不足)2.肝虚(ストレスが原因)の二つに分類し、肝経、腎経、肺経、膀胱経のツボを中心に小児はり、すみ灸をします。親御さんは、怒らない、あせらないことが大事です。
便秘・下痢 便秘は心配する必要の無いものと、そうでない場合があります。
 1.体質性便秘傾向児 原因が不明な便秘。
 2.食物、水分不足による便秘。
 3.遊び、外泊などで便意を我慢しての便秘。
 4.浣腸、下剤の乱用による便秘。
などは心配の無い便秘です。

肛門、直腸狭窄などが原因で起こる器質性便秘は鍼灸不適応で、専門医での受診が必要です。
東洋医学では、脾虚(消化器の働きの低下)腎虚(排尿、排便の働きの低下)によるものが比較的多いようです。
脾経、腎経、大腸経などのツボに小児鍼をすることで、消化管運動を促し、元気を補うようにすると、良い効果が得られます。

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